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1985-1989
85 ASTRO
1985年のアストロ誕生はまさにビッグニュースであった。いまでこそあたり前の存在となるミニバンも、当時としてはまさに画期的なものだったからだ。 もちろん、アストロはシボレー初のミニバンということになる。
構造はトラックのラダーフレームをミニバン用に改良したものをベースとするが、基本的にはオールニューに仕上げられた。 積載能力を最大限に生かしながらも、扱いやすさを強調したつくりがポイントとなる。 そして、このコンセプトは多くの人に受け入れられた。
近年日本の道でもその姿を多く見かけるが、当然アメリカでのアストロはそれ以上にブレイクした。 まさにアメリカを代表するミニバンといえる。
ちなみに、その誕生からの系譜を振り返ると、今日までを3つの世代に分けることができる。
基本的な構造は変更されていないので他のシボレー車で使う“世代”とは異なるが、ここではその内容に準じ3つのパートに分けて解説しよう。
アストロの第1期となるのはリリースされた85年から89年。ミニバンの市場が今日のようにパーソナルユース色が濃くなかったため、カーゴバンとしてのテイストが強かった。 デビューモデルとなる85年型はまさにそんなモデル。 バリエーションはカーゴバンとパッセンジャーバンがあり、後者にはCSとCLというトリム違いのグレードが用意されていた 。
86 ASTRO
87 ASTRO
88 ASTRO
89 ASTRO LT
この頃のスタンダードエンジンは4.3リットルV6となる。
商業用バンには2.5g直4も用意されたが、この太いトルクと150馬力を発揮するV6がひとつのセールスポイントとなった。
V6はスロットルボディインジェクション付きのボルテック。トランスミッションは5MTが標準となる。
グレードは87年からCS、CLの他、LTがトップレンジに追加された。
コードネームはMシリーズとなるためアストロはM10とも呼ばれた。 この頃に大きな変更はない。
グレードも前年と同じCS、CL、LTの3種類。それぞれ、カスタム・スポーツ、カスタム・ラグジュアリー、ラグジュアリー・ツーリングの略となる。
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1990-1995
90 ASTRO
90 ASTRO CS
AWD登場でさらに方向性が広がる
90年のニュースはアストロに4WDモデルが追加されたこと。
これはシボレーに関わらず全アメリカ製ミニバンにとってもはじめての装備となる。
そして、それと同時にRWD(リアホイールドライブ)をM10、4WDモデルをL10と呼ぶようになった。
ちなみに、アストロの場合4WDをAWD(オールホイールドライブ)と呼ぶ。
また、この年の中盤にはリアのオーバーハングを延ばしたエクステンドボディも登場。カーゴキャパシティが増やされた。
パッセンジャーバンのV6エンジンは170馬力にパワーアップ。
前年に大きな追加があったこの年のモデルにそれほど大きな変化はない。
若干の装備の追加と、CSとCLのボウタイマークが金色から赤に変わったことぐらい 。
91 ASTRO LT AWD
92
ASTRO LT
カーゴバンのV6ユニットは相変わらず150馬力のままだが、90年に20馬力アップしたパッセンジャーバン用はさらに改良が重ねられ200馬力へとパワーが高められた 。
93年頃にはミニバンのパーソナルユース化が加速したため、アストロの装備はさらに充実する。
インパネのデザインも変更され、乗用車からの乗り換えも違和感のないものとなった。
また、寒冷地仕様などの様々なパッケージングを揃えることで、あらゆるニーズに対応された。
トランスミッションは今日でも使われている電子制御式のAT、4L60-Eが採用される。
93 EXTENDED ASTRO CL
95
ASTRO CL
フロントまわりのデザインが一新され、迫力のある装いとなったのがこの年式の特徴。 シボレーのトラックファミリーとしてのアイデンティティが強くなった。
ちなみに、正規輸入モデルは、99年からこの顔になる。ボディタイプはレギュラーボディが消え、エクステンドだけとなる。
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1996-現在
96 ASTRO
96 ASTRO LT
内外装の充実、それが今日的ミニバン
96年からはインテリアがまったく変わる。
それまでのバンテイストが強い装いが、グッとパッセンジャーカーに近づいた。
そして、トリムカラーなどもバリエーションを一新させる。
グレードはCSがベースモデルとなり、CLがLSにそれぞれ名称を変える。LTはそのまま。
また、これに伴いV6エンジンはコンピューター制御が進化した新しい時代に突入する。
デイタイムランニングライトなどの装備の充実と、エミッション対策などが施された。
97 ASTRO LT
99 ASTROcargo Van
99年はそれまでの4WDシステムから、“オートトラック”と呼ばれるトルクスプリットタイプの4WDシステムに変更された。
これは路面の状況に応じてトルクを配分するタイプ。通常はリアを駆動させるが、それが自動的に4WDに切り替わる。
2000年は盗難防止として、キーレスエントリーにパニックアラームが追加されるなど、時代を反映した装備の充実が図られる。
00 ASTRO LT